ホワイトエール

ホワイトエール（ホワイトビール）は、小麦を使用した伝統的なエールスタイルの一つで、特にベルギーやドイツで発展しました。ベルギー発祥の「ウィット（Witbier）」が代表的で、小麦の風味を活かしつつ、オレンジピールやコリアンダーなどのスパイスを加えた爽やかな味わいが特徴です。一方、ドイツの「ヴァイツェン（Weizen）」もホワイトエールの一種で、バナナやクローブのようなフルーティーなエステルが強く感じられます。 ホワイトエールは主に上面発酵（エール酵母）で醸造され、発酵温度は15～24℃程度と比較的高めに設定されます。これにより、フルーティーな香りや複雑な風味が生まれます。小麦の使用比率が高いため、通常の大麦麦芽のビールと比べて口当たりが滑らかで、泡立ちも豊かです。さらに、ホップの苦味は控えめで、代わりにスパイスや酵母由来の風味が際立ちます。 ベルギースタイルのウィットビールは、16世紀頃から醸造されており、一時衰退したものの、1960年代に「ヒューガルデン」を筆頭に復活を遂げ、世界的に人気を博しました。ドイツのヴァイツェンは、バイエルン地方で長い歴史を持ち、特に「ヘフェヴァイツェン」は酵母を含んだ濁りのある外観が特徴です。 近年では、ホワイトエールに柑橘系のホップを加えたり、現代的なスパイスの組み合わせを試みたりすることで、新しいバリエーションが登場しています。クラフトビールの世界では、より個性を強調したホワイトエールも増えており、その多様性は魅力のひとつです。