ビアスタイルの説明
ビールは様々な種類がありますが、大きく分けると「エール」と「ラガー」の2種類に分類されます。
エールビール(上面発酵)
昔からあるビールの作り方で歴史が古く、上面発酵によって製造されるビールになります。ビールは発酵して醸造するのですが、発酵が進んだ際に酵母が麦汁の上面に浮いてくることから上面発酵と呼ばれ、常温~やや高温の15~25℃で発行する酵母で造られます。3~5日で発酵し、2週間ほど熟成して完成です。はるか昔イギリスで誕生したと言われています。フルーティな豊かな香りと味わいが特徴でワインのように香りと味わいを楽しむビールです。
エールビールには以下の種類があります。
ラガービール(下面発酵)
15世紀にドイツで誕生した比較的最近のビール製造方法です。エールと違いタンクのそこに酵母が沈み下面で発酵する性質を持つ酵母を使用します。5℃前後の低温で発酵する酵母で造られます。7~10日で発酵し、約1ヵ月かけて熟成させて完成です。時間がかかることからドイツ語で貯蔵を意味するドイツ語の「ラガー」をいう言葉が使用されました。エールに比べ、菌が繁殖しにくく管理がしやすいことから普及しました。
ラガービールには以下の種類があります。
その他(自然発酵ビール)
主にベルギーを中心に行われている製造方法のひとつ、「自然発酵ビール」。自然に生息する野生酵母を用いて、ビールが製造されます。長い時間をかけて発酵させるため、独特の香りや酸味が特徴です。現在では、この造り方で製造するブルワリーは少なく、大変貴重なビールになります。
自然発酵ビールには以下の種類があります。
- ランビック
白ビールの違いについて
ヴァイツェン、ホワイトエール、ベルジャンホワイトは、いずれも小麦を使用したビールですが、風味や製法に違いがあります。
- ヴァイツェン(Weizen) ヴァイツェンはドイツ・バイエルン地方発祥の上面発酵エールで、小麦由来の滑らかな口当たりと、バナナやクローブのようなフルーティーな香りが特徴です。ヘフェヴァイツェン(濁りあり)とクリスタルヴァイツェン(濁りなし)などの派生があります。ホップの苦味は低めで、泡立ちが豊かです。代表的な銘柄には「ヴァイエンシュテファン・ヘフェヴァイツェン」などがあります。
- ホワイトエール(White Ale) ホワイトエールは広義の小麦エールの総称で、ベルジャンホワイトを含むこともあります。柑橘系の爽やかさやスパイスのニュアンスが特徴で、比較的軽やかな飲み口を持ちます。クラフトビールではホップを強調したモダンなホワイトエールも登場しています。
- ベルジャンホワイト(Belgian Witbier) ベルジャンホワイトはベルギー発祥の上面発酵ビールで、小麦に加えオレンジピールやコリアンダーなどのスパイスを使用することで、爽快な風味を生み出しています。濁りのある淡い色とスムーズな口当たりが特徴で、ホップの苦味はほぼ感じられません。代表的な銘柄には「ヒューガルデン・ホワイト」などがあります。
まとめ
ヴァイツェン:ドイツの小麦エール。バナナ・クローブの香り+濃厚な泡立ち。
ホワイトエール:柑橘系+スパイスのアクセント。幅広いスタイルが存在。
ベルジャンホワイト:ベルギーのスパイス入り白ビール。爽快で苦味控えめ。
黒ビールの違いについて
シュバルツ、スタウト、デュンケルは、いずれも濃色系のビールですが、それぞれ発祥や特徴が異なります。
- シュバルツ(Schwarzbier) シュバルツはドイツの下面発酵ラガースタイルで、「黒ビール(Schwarz=黒)」を意味します。ラガー酵母を使用し、低温発酵・熟成することで、すっきりとした飲み口を維持しつつ、ローストモルト由来のチョコレートやコーヒーのようなニュアンスを持ちます。ホップの苦味は控えめで、アルコール度数も4.5~5.5%程度が一般的です。代表的な銘柄には「ケストリッツァー・シュバルツビア」などがあります。
- スタウト(Stout) スタウトはアイルランドやイギリスで発展した上面発酵のエールスタイルで、特にローストモルトの風味が際立つのが特徴です。ギネスに代表される「ドライスタウト」は、強いロースト香と苦味があり、比較的軽めのボディ。一方で「インペリアルスタウト」は高アルコール(8~12%以上)で濃厚な甘みと複雑な風味を持ちます。また、オートミールスタウトやミルクスタウトなど派生スタイルも多彩です。
- デュンケル(Dunkel) デュンケルはドイツ・バイエルン地方発祥の下面発酵ラガースタイルで、「暗い(Dunkel)」を意味します。シュバルツよりも明るめの茶色~濃い銅色で、ローストモルトの風味は控えめ。むしろカラメルモルト由来の甘みやナッツのようなニュアンスが特徴で、苦味は非常に穏やかです。ミュンヘナー・デュンケル(Münchener Dunkel)が代表的なスタイルで、バイエルンの伝統的なビールとして親しまれています。
まとめ
シュバルツ:ドイツの黒ラガー。すっきりした飲み口。
スタウト:アイルランド・イギリスの黒エール。ロースト感が強い。
デュンケル:ドイツの濃色ラガー。ロースト感よりもモルトの甘みが特徴。
まとめ
世の中には記述できないほどの種類があり、今この瞬間も新しいビールが開発されております。上記に記述したカテゴリーの中にも複数の種類が存在します。自分の好きなビアスタイルを見つけて人生の楽しみを増やしましょう!